Nikon D700 AF NIKKOR 50mm F1.4D
映画「加藤隼戦闘隊」のワンシーン。藤田進演じる加藤部隊長が、部下の写真を撮ろうとカメラを構えているところである。
もしやライカか、と思ったがそうではなかった。後のシーンで部下に「このコンタックスを・・」と語っているからだ。
海軍のエースパイロットである坂井三郎はライカを使っていたそうだが(
こちら)、陸軍のエースパイロット加藤建男が使っていたのはコンタックス。となると、そこに海軍と陸軍のライバル意識のようなものがあったのか。だとしたらちょっと面白いところだ。
だが、坂井三郎のライカは軍の備品だった可能性が高いのに対し、加藤隊長のコンタックスは私物のようだ。写真が趣味だったらしい。
映画だからフィクションではないのか、と思う方があるかもしれないが、これはまだ戦争中の昭和19年3月公開の、陸軍省後援作品である。原作は、実際に加藤の部隊に所属していた隊員が書いたものなので、加藤隊長がコンタックスを愛用していたのは本当だろうし、実際、戦闘の合間にこんなシーンがあったのだろう。
坂井三郎のライカ同様、このカメラの行方も気になる。
ちなみに、この映画が公開された約3ヶ月後に、ロバート・キャパがコンタックスを手にノルマンディの海岸に上陸し、「ちょっとピンぼけ」の写真を撮ることになるわけだ。