OLYMPUS STYLUS 1
2014年12月。横浜。
馬車道商店街を海を背に歩いているとJRの線路が見えてきて、その下を通るとあるのが吉田橋という橋である。
横浜に外国人の居留地ができた頃、ここに人の出入りをチェックするための関所が設けられたそうで、それが関内という地名の由来であるらしい。橋といっても下に川は流れておらず自動車が走っている、と司馬遼太郎が「横浜散歩」に書いており、それを確かめるために見に来たのである。
橋の下は確かに自動車専用道になっているようであった。地図で見ると高速神奈川1号横羽線とある。自動車道(高速道路)の建設地として河川を利用したのは東京でも大阪でも横浜でも同じらしいが、これはちょっと自分には新鮮な風景であった。
馬車道方向から吉田橋を渡るとすぐに伊勢佐木町である。青江三奈さんのヒット曲「伊勢佐木町ブルース」(作詞・川内康範)で知られた歓楽街だ(それにしても横浜にまつわる歌謡曲の多いこと)。伊勢佐木町も少し散歩したかったが今回は時間が足りなかった。
伊勢佐木町ブルースといえば、あの歌い出しのなんと色っぽいことかと、子ども心にも思ったことを覚えている。長く記憶に残る実にインパクトのある歌謡曲であった。
ちなみに、伊勢佐木町ブルースというタイトルを聞くと、似たような曲として自分などは、宗右衛門町ブルースとか柳ヶ瀬ブルースなんかを連想するのだが、ブルースというのは元々は黒人の魂の哀しみのようなものを歌う曲であったろうに、この国では多くが歓楽街(酒場)と結びついた演歌になっているのが面白いなあと思ったりする。