Nikon D700 AF NIKKOR 35mm F2.0D
飾磨区。
今となってはまことに不思議なことに、就職して間もない頃、ピアノを習っていたことがある。
職場の先輩の奥様が自宅でピアノの教室をしていて、週に1度、仕事が終わってからそこへ通っていたのだ。その通っていた先が姫路市の山陽電車飾磨駅近くの、確か商店街から少し横道に入ったところだった。
先日ふと、そんなことを思い出して飾磨駅で下車して周辺を歩いてみた。
習い始めて間もなく自分が転勤したため、その方とはもう随分会っていないが、住所はまだ変わっていないはずなので、歩いているうちに記憶がよみがえって、通っていたお宅を見つけることができるかも。と期待したのだが、さすがに記憶が薄れてしまっていて、全然わからなかった。何しろもう30年も前の話だ。
それでもかすかに当時のことを思い出したりして、楽しい散歩ではあった。
写真家の内田ユキオさんによれば、写真を撮るというのは人生という1冊の本の一部にアンダーラインを引くような行為であるらしい。この方はいつも詩的な言葉で写真を語られるのがすばらしい。
飾磨駅近くの街を今の自分が写真に撮るというのは、ずいぶん昔に何となく読み過ごした部分を読み返して、そこに新たにアンダーラインを引いてるようなものといえるだろうか。ある年齢以降、もう読み返せないページもずいぶんと増えてしまったのだけど。
ちなみに、過去のページのどこにも「ピアノが弾けるようになった」とは書かれていない。