OLYMPUS E-620 ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6
高瀬ダムの上流、不動沢で。
ダムというのは様々な目的で造られるものだが、最大の弱点は徐々に土砂が堆積し、その結果、貯水量が減っていくことである。(砂防ダムについては土砂を貯めるのが目的だろうけど)
どんなものもそうけど、ダムにもつまり予測される寿命というのがある。
長野県大町市にある高瀬ダムは発電目的のダムだが、調整湖に流れ込む濁沢、
不動沢といった河川の上流に大規模な山岳の崩壊があって、想定よりも遙かに早いスピードで土砂の堆積が進んでいるらしい。きっとこれも、東京電力にとっては一つの「想定外」だったろう。
そこで、東京電力は数年前から上流の土砂の搬出を始めていて、毎日30数台のダンプが隊列を組み、何度も往復して土を他の場所に運んでいるのである。観光客の乗ったタクシーがダムの上に行くのは、その隊列の合間を縫ってのことになる。
搬出にかかる費用は年間約300億円だそうだ。もちろんそれは東京電力の電気代に含まれているわけだ。
電気を作るため、上流からやってくる土砂を来る日も来る日も集めて運び出すという、これはまるで賽の河原の石積みのようだ。電気はこうして作られているのだという、これは自分としては初めて知った光景である。